低用量ピル(OC/LEP)とは
低用量エストロゲン・プロゲスチン療法として保健適応のあるホルモン剤は略してLEP(レップ)製剤とも呼ばれ、月経困難症をはじめとした疾患に対し処方されています。OC(経口避妊薬)もLEPも同じ超低容量〜低用量のホルモン製剤です。
ピルを服用すると、体内のホルモンバランスが妊娠している時と同じ状態に近づくため、脳は妊娠しているかのように認識します。
毎日服用することにより排卵を促すホルモンの分泌が抑制され、確実な避妊効果が期待出来ます。
妊娠をご希望される場合は、服用中止後3周期目くらいで服用していない状態に戻ります。
周期投与法では、およそ4週間毎に月経のような出血があります。
効果が有効な場合、月経量は減少し、月経血自体がほとんどなくなる場合もあります。
連続投与法(フレックス)では、性器出血がない限り数ヶ月の間、月経のない状態を得ることができます。
月経前後の体調不良(月経前症候群)がある患者さまには、月経回数を減らすことが可能な連続投与法をお勧めしています。
ピル服用のメリット
- 避妊効果
- 月経周期が整う
- 月経痛や月経量の軽減、出血期間の短縮
- いらいらなどの症状の改善
- ピルに含まれるホルモンが原因で太ることはありませんが、水分貯留によるむくみ、食欲増進作用が現れることがあります。
その場合、ニキビやむくみの改善が期待できるものに変更することもできます(ヤーズ、ドロエチ、アリッサなど)。
子宮内膜症の患者様には、痛みが軽減し病変の増大を抑制する効果があり、子宮内膜症の手術後の方には、術後再発や増悪を抑制する効果があります。
卵巣がん発症リスクの抑制(排卵を抑制する)、子宮体がん発症リスクの抑制(子宮内膜の増殖を抑制する)、大腸がん発症リスクを抑制する効果があります。
内服開始時の副作用(開始後1〜2ヶ月間出現することがあります)
軽い嘔気、少量の出血、頭痛、倦怠感、乳房の張りなどが出現することがあります。
*症状がひどい場合や、長く続く際はご相談ください。
特に気をつけなければならない副作用
血栓症(血管内で血液が凝固する状態)
手足のしびれ、頭痛が持続する、視野の一部が見えにくくなる、胸苦しい感じ、ふくらはぎの痛み、むくみが強くなる、足の太さに左右差があるなど
*発症頻度は高くありませんが、重症の場合緊急治療を要することがあります。
速やかに服用を中止しご相談ください。
当院ではOC/LEP服用前にチェックシートによる問診、服用開始前に血液検査、がん検査、超音波検査など症状に応じ確認をいたします。
OC・LEPに含まれる女性ホルモンの含有量は、少ないほど副作用発症リスクは低いと考えられています。
服用開始後も症状に応じて各検査を行い、安全に服用できるようにしています。
血液検査では、血液凝固検査・肝機能、血算、脂質検査などをおこないます。
ピルの服用方法 毎日夕食後に1錠の服用をしていただきます
- ① 21錠タイプ
- 21錠に有効成分が入っていて、21日間服用したのち7日間休薬します(※薬を服用しない期間があります)。
- ② 28錠タイプ
- 有効成分の入った21錠を服用した後、空の錠剤(プラセボ)を4ー7日間同じように服用します(休薬期間のないタイプ)。
- ③ フレックスタイプ
- ヤーズと同成分のヤーズフレックス(120日間連続服用可能)です。
フレックスタイプは性器出血(点状出血含む)が3日以上起こるまで、もしくは不正出血が無い場合120日間続けて服用出来る製剤です。
出血を認めた場合もしくは服用120日が経過した後は、4日間服用を中止(休薬)し再度服用を開始します。
この投与法では、性器出血の回数を年3回程度まで減らすことができます。
- ④ 連続服用タイプ
- ジェミーナは21錠を服用後7日休薬する方法もありますが、28錠2シート+21錠タイプ1シート=合計77日連続服用することができます。
フレックスタイプ、連続服用タイプともに、月経時の痛みが強い方、子宮内膜症がある方など、月経の回数を減らしたい方にお勧めいたします。
OC/LEPを飲み忘れた場合
飲み忘れに24時間以内に気づいた場合、気付いた時点で1錠服用します。その後、その日の錠剤はいつも通り服用します。
2日以上飲み忘れると、最後に飲み終えた時から2~3日後に出血しはじめることがあります。
その後の服用方法については、診療時間内に電話にてお問い合わせください。
経口避妊薬
経口避妊薬として、マーべロン28、トリキュラー28、ファボワール28、ラベルフィーユ28などをご用意しています。
低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP製剤)
月経困難症などに対する保険適応のLEP製剤は、
ヤーズ、ドロエチ、ヤーズフレックス、ルナベルLD/ULD、フリウェルLD/ULD、ジェミーナ21、ジェミーナ28、アリッサなどがあります。
長期連続服用が可能なものとして、最長120日間服用を継続できるヤーズフレックス、77日間服用を継続するジェミーナがあります。
保険適応において処方される場合、1シートあたり約500円〜2500円/月 程度です。
ピル(経口避妊薬)を服用する際の注意点
飲み忘れがなければ、高い避妊効果が期待されます。性行為感染症の予防には、必ずコンドームなどを使用してください。
服用中に水分貯留によるむくみ、食欲増進作用が現れることがあります。
ピル(OC)、LEPを服用してはいけない方
- 乳がん、子宮頸がん、子宮体がんおよびその疑い
- 原因不明の性器出血のある方
- 血栓症がある、または既往歴がある、血栓のリスクが高い方
- 35歳以上で1日15本以上の喫煙
- 心臓の病気がある方
- 前兆を伴う片頭痛がある
- 手術前4週以内、手術後2週以内、産後4週以内の方
- 高コレステロール血症、中性脂肪高値などの脂質異常症
- 高血圧症の方
- 妊婦またはその可能のある方、授乳中の方
- 年齢やおからだの状態に応じ、薬剤の変更中止をご提案する場合があります